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【日本】2025年5月の実質消費支出は一時要因で拡大 消費は横ばいも先行きに期待 | 日本とアメリカの重要な経済指標を分かりやすく解説 | マネクリ マネックス証券の投資情報とお金に役立つメディア
2025年7月8日(火)14:00発表
日本 景気ウォッチャー調査2025年6月分
(その他:最新の家計調査・商業動態統計速報・消費動向調査・消費活動指数より)
【1】結果:一部に持ち直しも見られるが消費動向はまちまち
【図表1】直近の消費関連統計
※<単位>の補足がないものは指数値、またカッコ内は前年同月比%
出所:総務省、内閣府、日本銀行、経済産業省よりマネックス証券作成
2025年5月の家計調査では、二人以上勤労者世帯の実質消費支出は、前年同月比6.1%増の35.1万円と3ヶ月連続で前年同期比プラスとなりました。一時的な自動車購入といった支出が全体を押し上げ、プラス幅を拡大しています。実収入は5ヶ月ぶりに実質増となり、可処分所得(収入のうち、税金や社会保険料を控除した所得、いわゆる手取り収入)とともにプラス圏となり、一進一退ながらも収入と消費が連なって推移しています(図表2)。
その他の消費指標を概観すると、経済産業省の基調判断では小売売上高は一進一退とされ、頭打ち感が見られます。また、百貨店(2025年4月分)がインバウンド需要の減退に伴いマイナスでの推移が続いており、一部に弱さが見られると言えるでしょう。消費マインドは持ち直しが見られ、全体としては悪くはないものの、依然として強さがあるとは言えない印象です。
【図表2】二人以上勤労者世帯の収入・消費の推移(前年同月比、%)
出所:総務省よりマネックス証券作成、3指標ともに実質ベース
【2】内容・注目点:前四半期のGDP民間最終消費は横ばいか
【図表3】世帯消費動向指数と消費活動指数の推移
出所:日本銀行、総務省よりマネックス証券作成 ※CTIミクロは二人以上世帯
世帯消費動向指数とは、別名CTIミクロと呼ばれ「世帯における平均消費支出額」を指数化したものです。3月の二人以上世帯におけるCTIミクロは前月比(季節調整値)2.3%上昇し、上述のように一時要因が大きいものの消費の拡大が確認されました。
一方で、日本銀行が算出する消費活動指数はここ数ヶ月、横ばい圏での推移となり、消費の拡大は見受けられません。次回のデータを待つ必要はあるものの、現時点では前四半期(2025年4-6月期)のGDPにおける個人消費は横ばいで、前期比0%程度と予想されます。
【3】所感:不確実性が継続する中で消費主導の経済を期待
【図表4】消費マインド指標の推移(ポイント)
出所:内閣府よりマネックス証券作成、シャドーは景気後退期
消費マインドは持ち直しの傾向があり、この基調が続くかがポイントとなるでしょう。また、春闘の賃上げ率も小幅ながら前年を上回る実績となり、次第に消費に波及していくと考えられます。足元の日本市場では、米政権による関税政策とその交渉が長引いており、製造業を中心に今四半期(2025年7月-9月期)も景況感の改善・拡大となる可能性は小さいでしょう。
一方で、家計の消費をひっ迫させていたコメ価格も低下が見え始めました。前年比5%を上回る賃上げ率となったことから、実質賃金も次第にプラスに収束していくとすれば、消費主導の内需セクターが経済を支えるものと考えられます。実際に、主要小売業の既存店売上高は好調な数字が散見されます。インバウンド需要のピークアウト感は逆風となるものの、代わって国内需要が拡大するかがポイントとなるでしょう。
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太